改正物流効率化法、東海企業の約7割が『内容を知らない』——愛知県の中小企業が今すぐ確認したい5つのこと

東海企業の約7割が「内容を知らない」という現実

少し気になる調査結果を目にしました。

帝国データバンク名古屋支店が2026年4月に実施した調査によると、愛知・岐阜・三重・静岡の東海4県の企業のうち、改正物流効率化法の内容を「知っている」と回答した企業は18.2%でした。

一方、「内容を知らない」と回答した企業は69.2%。約7割にのぼります。

さらに気になったのが、業界による認知度の差です。

「運輸・倉庫」では内容を知っている企業の割合が6割だった一方、製造業など主要な荷主事業者では2割以下にとどまっています。

この数字を見て、

「物流に関する法律だから、物流会社が対応するもの」

という認識が、まだ少なからず残っているのではないかと感じました。

しかし、改正物流効率化法への対応は、物流事業者だけの話ではありません。

特に愛知・東海は製造業が集積する地域です。

工場から製品を出荷する立場になることもあれば、部品や原材料を受け入れる立場になることもあります。

つまり、物流会社ではない企業であっても、発荷主・着荷主として物流効率化に関わる可能性があります。

私はこれまで20年以上、3PL企業と荷主企業の両方の立場で物流現場に携わってきました。

その経験から、今回の調査結果を単なる「法律の認知度」の問題ではなく、

「自社の物流をどこまで把握し、改善に動き始めているか」

という視点で考えてみたいと思います。

➡帝国データバンク「東海4県・改正物流効率化法に関する企業の意識調査」

➡国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト

改正物流効率化法は「物流会社だけの法律」ではない

改正物流効率化法では、物流事業者だけでなく、発荷主・着荷主を含む関係事業者それぞれに、物流効率化へ向けた取組が求められています。

例えば荷主については、

・第一種荷主(主に発荷主)
・第二種荷主(主に着荷主)

という立場に応じて、物流効率化に向けた努力義務や判断基準が定められています。

製造業、卸売業、小売業などであっても、貨物を発送したり、受け取ったりしていれば関係する可能性があります。

具体的な取組として重要になるのが、

・荷待ち時間の短縮
・荷役等時間の短縮
・積載効率の向上

などです。

例えば、ドライバーが納品先に到着しても、荷受け準備が整っていなければ荷待ちが発生します。

出荷準備が遅れれば、集荷に来たトラックを待たせることになります。

納品日や発注単位が細かく分散していれば、トラックの積載効率が下がることもあります。

これらは、物流事業者だけが努力して解決できる問題ではありません。

発荷主の出荷準備、着荷主の荷受け体制、倉庫のオペレーション、物流事業者の配車・運行。

それぞれをつなげて考える必要があります。

特に複雑なサプライチェーンを持つ企業が多い愛知・東海では、「自社は物流会社ではないから関係ない」と考えるのではなく、自社が物流の中でどのような役割を担っているのかを確認することが重要です。

➡「物流効率化法で企業は何をすべき?」

法律の名前を知っているかより、自社の物流を把握しているか

今回の調査では、法律の「認知度」が取り上げられています。

もちろん、法律の内容を理解することは重要です。

しかし、実務の立場から見ると、さらに重要なのは、

「自社の物流で実際に何が起きているのかを把握しているか」

だと考えています。

法律の名前や制度を知っていても、荷待ち時間を把握していなければ改善はできません。

逆に、法律に詳しくなくても、自社の物流を見える化し、取引先や物流事業者と改善を進めている企業は、すでに法改正の方向性に沿った取組を進めているともいえます。

そこで、まず次の5つを自社に当てはめて確認してみてください。

① トラックの荷待ち時間を把握していますか?

自社の工場や物流センターで、トラックが到着してから荷役が始まるまで、どれくらい待っているか把握できていますか?

「それほど待たせていないと思う」

ではなく、実際の時間を数字で確認することが重要です。

まずは、

・到着時刻
・受付時刻
・荷役開始時刻
・荷役終了時刻
・出発時刻

などを記録してみるだけでも、現場の実態が見えてきます。

② 荷役等にかかる時間を測っていますか?

荷積み・荷下ろしだけでなく、検品や仕分けなどを含め、ドライバーが運転以外の業務にどれだけ時間を使っているかも重要です。

例えば、

・検品に時間がかかっている
・フォークリフトを待っている
・荷物の置き場所が決まっていない
・伝票処理に時間がかかっている

といったことが、荷役等時間を長くしている場合があります。

工程ごとに時間を分けて見ることで、改善すべきポイントが見つけやすくなります。

③ 入荷車両が集中する時間帯を把握していますか?

着荷主の立場では、入荷車両が特定の時間帯に集中していないか確認することも重要です。

例えば午前中に納品車両が集中し、バースや荷受け担当者が足りなくなれば、荷待ちが発生します。

その場合、

・納品時間帯を分散する
・予約受付の仕組みを導入する
・荷受け担当者の配置を見直す

といった改善が考えられます。

大切なのは、システムを導入すること自体ではなく、実際に荷待ち時間が短縮される運用をつくることです。

④ 出荷時間や納品条件に無理がないか確認していますか?

発荷主の立場では、自社が設定している出荷条件や納品条件も確認する必要があります。

例えば、

「翌朝一番に納品してほしい」

「毎日少量ずつ納品してほしい」

「注文確定後すぐに出荷してほしい」

といった条件が積み重なることで、物流事業者の配車や積載効率に影響している可能性があります。

物流部門だけでなく、営業・購買・生産なども含めて、現在の条件が本当に必要なのかを見直すことが重要です。

⑤ 積載効率を高めるために、取引先や物流会社と話し合っていますか?

積載効率は、一社だけで改善することが難しいテーマです。

例えば、

・発注単位をまとめる
・納品回数を減らす
・納品日を集約する
・共同配送を検討する
・帰り便を活用する

といった改善には、取引先や物流事業者との協力が必要になります。

「物流会社に効率化してもらう」のではなく、

「どうすればお互いに効率の良い物流をつくれるか」

を話し合う関係へ変えていくことが重要です。

「知っている」だけで終わらせないための3ステップ

では、何から始めればよいのでしょうか。

私は、次の3つのステップで進めることをおすすめしています。

ステップ1:現状を数字で把握する

まずは、

・荷待ち時間
・荷役等時間
・入出荷車両の時間帯別台数
・積載状況
・納品頻度

など、自社の物流の現状を数字で把握します。

最初から大がかりなシステムを導入する必要はありません。

Excelや紙でも構いません。

まず1週間記録してみるだけでも、これまで感覚で捉えていた物流の姿が見えてくることがあります。

ステップ2:改善の優先順位をつける

現状を見える化すると、多くの場合、複数の課題が見つかります。

すべてを一度に解決しようとするのではなく、

「効果が大きく、比較的取り組みやすいもの」

から始めることが重要です。

例えば、

・入荷時間を分散する
・フォークリフトの配置を変える
・荷受け場所を明確にする
・出荷準備の開始時間を見直す
・取引先と納品頻度を協議する

など、投資をほとんど必要としない改善もあります。

小さく始めて効果を確認し、次の改善につなげていきます。

ステップ3:関係者が一緒に改善する場をつくる

そして最も重要なのが、関係者が一緒に改善することです。

物流部門だけでなく、

営業、購買、生産、倉庫、物流事業者、取引先など、物流に関わる人たちが情報を共有する場をつくります。

毎月大がかりな会議を開く必要はありません。

例えば、

「先月、荷待ちが長かった日はいつだったか」

「なぜその日に集中したのか」

「来月はどう変えるか」

を定期的に話し合うだけでも、改善は動き始めます。

物流効率化を一過性の法対応で終わらせず、日常の改善活動に変えていくことが重要です。

物流は、物流会社だけでは変えられない

物流現場に20年以上携わってきて、強く感じていることがあります。

それは、

物流の問題の原因は、必ずしも物流現場の中だけにあるわけではない

ということです。

荷待ち時間が長い原因が、着荷主側の荷受け体制にある。

積載効率が低い原因が、営業部門の受注条件や購買部門の発注単位にある。

緊急便が多い原因が、生産計画の変更にある。

こうしたケースは珍しくありません。

だからこそ、物流会社だけに「もっと効率化してください」と求めても、根本的な改善にはつながりません。

発荷主、着荷主、物流事業者、倉庫事業者。

さらに社内の営業・購買・生産なども含めて、サプライチェーン全体で物流を考える必要があります。

今回の帝国データバンクの調査で、東海企業の約7割が改正物流効率化法の「内容を知らない」という結果になったことは、確かに気になる数字です。

しかし、さらに重要なのは、

法律を知った後に、何をするか。

だと思います。

2026年4月の全面施行から数か月が経ちました。

この機会に、「法律への対応」という視点だけでなく、

「自社の物流を一度きちんと見える化してみる」

ところから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ:まず自社の物流を5つの視点で確認する

改正物流効率化法は、物流事業者だけの問題ではありません。

荷主企業にとっても、自社の物流を見直す重要な機会です。

まずは、次の5つを確認してみてください。

トラックの荷待ち時間を把握しているか
荷役等にかかる時間を測っているか
入荷車両が集中する時間帯を把握しているか
出荷時間や納品条件に無理がないか
積載効率について取引先・物流事業者と話し合っているか

5つすべてに明確に答えられるでしょうか。

一つでも「分からない」があれば、そこが物流改善のスタート地点かもしれません。

kanakoluコンサルティングオフィスでは、物流現場の現状整理、荷待ち・荷役等時間の見える化、課題分析、改善計画の立案から、関係部門・物流事業者を巻き込んだ改善活動まで支援しています。

愛知県を拠点に、訪問・オンラインで全国対応しています。

「改正物流効率化法への対応として、まず何を確認すればよいか分からない」

「自社の荷待ち・荷役の実態を一度整理したい」

「物流会社任せではなく、荷主として物流改善を進めたい」

という企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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