物流業界の女性管理職は8.6%——これからの管理者育成に必要な「一人ひとりの強みを活かす」という視点

物流業界の女性管理職8.6%という数字から考える

先日、物流業界の人材育成について考えさせられるニュースを目にしました。

帝国データバンクが2026年8月に発表した「女性登用に対する企業の意識調査」によると、企業の女性管理職の平均割合は11.3%となり、過去最高を更新しました。

一方、業界別に見ると、「運輸・倉庫」は8.6%。「製造」の8.2%、「建設」の7.0%とともに、1割を下回っています。

物流業界では、人手不足への対応が大きな経営課題になっています。実際、帝国データバンクの別の調査では、2026年7月時点で「運輸・倉庫」の65.6%が正社員不足を感じているという結果も出ています。

そうした状況を考えると、これまで以上に多様な人材が活躍できる環境をつくっていく必要があります。

ただ、今回の「女性管理職8.6%」という数字を見て、私が考えたのは、

「どうすれば女性管理職を増やせるか」だけではありません。

そもそも私たちは、「管理職とはこういう人」という人物像を狭く考えすぎていないでしょうか。

私はこれまで約20年間、物流現場に携わり、多くの管理者や現場リーダーと仕事をしてきました。

その経験と、現在のGallup認定ストレングスコーチとしての視点から、これからの物流業界に必要な管理者育成について考えてみたいと思います。

➡ LOGISTICS TODAY「運輸・倉庫の女性管理職8.6%、登用なお低水準」

➡ 帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2026年)」

物流現場では「優秀なプレイヤー」が管理者になりやすい

物流現場では、

・現場経験が長い
・仕事が速い
・トラブル対応ができる
・業務について詳しい
・周囲を引っ張る力がある

こうした人がリーダーや管理者に登用されるケースが多くあります。

もちろん、現場経験や業務知識は管理者にとって大切です。

しかし、

「優秀なプレイヤー=優秀な管理者」ではありません。

プレイヤーとして求められるのは、自分自身が成果を出すことです。

一方、管理者に求められるのは、自分だけが成果を出すことではなく、メンバー一人ひとりの力を引き出し、チームとして成果を出せる状態をつくることです。

ここには大きな違いがあります。

プレイヤーとして非常に優秀だった人が管理者になった途端、

「自分でやった方が早い」

「なぜこんな簡単なことができないのか」

「部下にどう仕事を任せればいいか分からない」

と悩んでしまうことがあります。

管理者になったからといって、自然にマネジメントができるようになるわけではありません。

だからこそ、管理者になってからの育成が重要だと考えています。

これからの管理者に必要なのは「一人ひとりの違いを見る力」

管理者育成というと、

「リーダーシップを身につける」

「コミュニケーション能力を高める」

「部下への指示の出し方を学ぶ」

といったことを思い浮かべる方も多いと思います。

もちろん、これらも重要です。

ただ、私が管理者育成で特に大切だと考えているのが、

「一人ひとりの違いを理解すること」

です。

同じ物流現場で働いていても、人によって力を発揮する場面は違います。

人と話しながら仕事を進めることが得意な人もいれば、一人でじっくり考えることで力を発揮する人もいます。

変化の多い状況で柔軟に対応することが得意な人もいれば、決められた手順を着実に進めることが得意な人もいます。

ところが管理者が、

「自分はこうやって仕事を覚えたから、部下も同じようにやればいい」

と考えてしまうと、メンバーの強みを十分に活かすことができません。

管理者には、自分と部下は違うということを理解し、それぞれの特徴を捉え、その人が力を発揮できる役割や関わり方を考えることが求められます。

これは女性管理職の育成だけに限った話ではありません。

若手、ベテラン、女性、外国人など、物流現場で働く人材が多様になっていくほど、この視点は重要になっていくと考えています。

ストレングスファインダーで「違い」を言葉にする

そこで私が管理者育成に活用しているのが、Gallup社のCliftonStrengths(ストレングスファインダー®)です。

CliftonStrengthsでは、一人ひとりが自然に繰り返している思考・感情・行動のパターンを34の資質として捉えます。

大切なのは、

「どの資質が良い、悪い」というものではない

ということです。

例えば、メンバー一人ひとりの違いを捉えることが得意な管理者もいます。

将来の可能性を考え、チームの方向性を示すことが得意な管理者もいます。

メンバーの成長を支援することに喜びを感じる管理者もいれば、さまざまな人や仕事を組み合わせながら、チーム全体を動かすことが得意な管理者もいます。

つまり、

「優れた管理者になるための一つの正解」があるわけではありません。

自分の強みを理解し、それをどうマネジメントに活かすかを考えることが重要です。

➡ Gallup「CliftonStrengths」公式ページ

「理想の管理職像」に無理に合わせなくてもいい

女性管理職の割合について考えるとき、もう一つ大切だと思うことがあります。

それは、

「これまでの管理職像に女性を当てはめる」だけでいいのか

ということです。

例えば、

「強く指示できる人」

「現場をぐいぐい引っ張れる人」

「長時間働ける人」

「何でも自分で判断できる人」

だけが管理者に向いているという考え方では、管理職候補となる人材を自ら狭めてしまう可能性があります。

管理者にも、さまざまなスタイルがあっていいはずです。

メンバーの話をじっくり聞ける管理者。

一人ひとりの特徴を捉えることが得意な管理者。

チームの調整役として力を発揮する管理者。

将来の方向性を示すことが得意な管理者。

それぞれが自分の強みを活かして、チームをマネジメントすることができます。

これは女性だけでなく、男性にも同じことが言えます。

誰もが同じ管理職を目指すのではなく、その人なりの管理者像をつくっていく。

これからの管理者育成では、こうした考え方がより重要になるのではないでしょうか。

女性管理職を「増やすこと」だけを目的にしない

今回の帝国データバンクの調査でも、興味深い結果があります。

女性活躍推進のために企業が取り組んでいる施策では、

「性別に関わらず成果で評価」が64.2%、
「性別に関わらず配置・配属」が53.8%

となっています。

一方で、

「キャリア開発・育成の充実」は7.1%、
「女性管理職の数値目標を設定」は3.5%

にとどまっています。

私は、この「育成」という部分に大きな可能性があると感じています。

女性管理職の割合を上げることだけを目的にするのではなく、

性別や年齢に関係なく、一人ひとりが自分の強みを活かし、成長できる環境をつくること。

そして、

「自分にも管理職ができるかもしれない」

「自分らしいやり方でチームに貢献できるかもしれない」

と思える人を増やしていく。

その結果として、多様な人材が管理職として活躍する組織になっていくことが、理想的ではないかと思います。

人手不足の物流業界だからこそ、一人ひとりの強みを活かす

物流業界では、これからさらに人材確保が難しくなっていくことが予想されます。

だからこそ、

「今まで管理職になってきたタイプの人を探す」

だけではなく、

「今いる人材の中に、どんな可能性があるのかを見る」

という発想が必要です。

管理者自身が自分の強みを知る。

そして、部下一人ひとりの特徴を理解する。

そのうえで、

・どんな仕事を任せるのか
・どんな声を掛けるのか
・どんな経験を積んでもらうのか
・どんな場面で力を発揮してもらうのか

を考えていく。

私は、これこそがこれからの管理者に求められる重要な役割の一つだと考えています。

まとめ——「人を見る力」を管理者育成の中心に

運輸・倉庫業の女性管理職比率は8.6%。

この数字を単に「女性管理職が少ない」という問題だけで捉えるのではなく、物流業界の管理者育成そのものを見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

これからの管理者に求められるのは、

・自分自身の強みを理解する
・一人ひとりの特徴を捉える
・それぞれの強みを活かせる役割を考える
・対話を通じて成長を支援する
・チームとして成果を出せる環境をつくる

といった力だと考えています。

管理者が変われば、メンバーへの関わり方が変わります。

メンバーへの関わり方が変われば、一人ひとりが力を発揮できる可能性も広がります。

そして、その積み重ねが、多様な人材が活躍できる組織につながっていきます。

kanakoluコンサルティングオフィスでは、Gallup認定ストレングスコーチとして、CliftonStrengths(ストレングスファインダー®)を活用した管理者育成・組織開発をご支援しています。

物流企業に限らず、製造業やサービス業など、**「管理者を育てたい」「一人ひとりの強みを活かせる組織をつくりたい」**という企業様のご相談にも対応しています。

また、物流現場については、物流改善の経験を活かし、現場の課題と人材育成を関連づけた支援も可能です。

愛知県を拠点に、訪問・オンラインで全国対応しています。

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という企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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