「研修して終わり」にしない管理職育成とは?AI×実践×ストレングスファインダーで行動変容につなげる方法

管理職研修をしても、なぜ現場の行動は変わらないのか?

「管理職研修を実施した。でも、数か月すると元に戻ってしまう」
「1on1を導入したものの、現場では形骸化している」
「研修では理解しているのに、実際のマネジメント行動がなかなか変わらない」

人材育成に取り組む企業では、このような悩みを抱えることも少なくありません。

私自身、物流現場やプロジェクトマネジメントの仕事を20年以上経験する中で、多くの管理職やリーダーと仕事をしてきました。
現在はGallup認定ストレングスコーチとして、Gallup(ギャラップ)が開発した強みのアセスメント「ストレングスファインダー®」を活用した管理職育成・組織開発にも取り組んでいます。

その中で感じてきたのは、「知っていること」と「現場でできること」は違うということです。
どれだけ良い研修を受けても、翌日から突然マネジメントが変わるわけではありません。

最近では、管理職育成においても、研修で知識やスキルを学ぶだけではなく、その後の1on1などの現場実践、AIやデータを活用した可視化、さらに振り返りや対話までを一つの育成プロセスとして設計する取り組みが見られるようになっています。

私が注目しているのは、「AIを使っていること」そのものではありません。
研修 → 現場実践 → 可視化 → 振り返り → 再実践
までを、一つの育成サイクルとして考えている点です。

これからの管理職育成を考えるうえで、とても重要な視点ではないでしょうか。

なぜ「研修して終わり」では人が変わりにくいのか

一般的な管理職研修では、
傾聴する。
問いかける。
フィードバックする。
部下の主体性を引き出す。
といったマネジメントの考え方やスキルを学びます。

もちろん、こうした研修は重要です。
問題は、研修が終わった後です。
職場に戻れば、管理職には日々の仕事があります。
会議、顧客対応、トラブル対応、進捗管理、部下からの相談。
特にプレイングマネージャーであれば、自分自身の仕事にも追われます。

その中で、
「研修で学んだ問いかけを使ってみよう」
「今日は部下の話を最後まで聞いてみよう」
と思っていても、忙しくなるにつれて、いつの間にか以前のマネジメントに戻ってしまう。
こうしたことは珍しくありません。

だからこそ、人材育成では、
「何を教えるか」だけではなく、「学んだことをどう現場で使い続けてもらうか」
まで設計する必要があります。

研修をゴールにするのではなく、研修を現場での行動変容のスタート地点にする。
ここが大きな違いだと考えています。

これからの人材育成に必要なのは「実践と振り返り」

例えば、管理職研修で、
「部下の話を聴くことが大切です」
と学んだとします。

研修中は、
「なるほど。確かにそうだ」
と理解できるでしょう。

しかし、理解することと、実際にできることは別です。
実際の1on1で部下と話してみる。

すると、
「思った以上に自分が話していた」
「部下が考える前に、自分が答えを教えてしまっていた」
「質問しているつもりだったけれど、実際には指示が多かった」
といったことに気づくかもしれません。
そこで振り返ります。

そして、
「次の1on1では、答えを言う前に一つ質問してみよう」
と次の行動を決める。
もう一度、現場で実践する。

つまり、
学ぶ → やってみる → 振り返る → 気づく → 次の行動を決める → もう一度やってみる
という循環です。

人材育成では、このサイクルを継続できる仕組みをつくることが重要だと思います。

AIは「人を育てる」のではなく、「気づく材料」を増やす

ここで、AIを活用できる可能性があります。

生成AIをはじめとする技術が急速に進化する中、
「将来はAIが人材育成まで行うようになるのではないか」
と考える方もいるかもしれません。

しかし、私は少し違う捉え方をしています。
人材育成の中心にあるのは、これからも人と人との対話ではないでしょうか。
AIが得意なのは、その対話や行動を客観的に振り返るための「材料」を増やすことです。

例えば、1on1で、
「上司と部下の発話時間はどのくらいだったのか」
「上司はどれくらい質問していたのか」
「前回と今回で対話の傾向がどう変わったのか」
といった情報を可視化できれば、振り返りの材料になります。

感覚だけでは、
「今日は結構、部下の話を聞けたと思う」
で終わってしまうかもしれません。

しかし、何らかのデータや記録があれば、
「自分では聞いていたつもりだったけれど、実際には自分がかなり話していた」
という気づきにつながる可能性があります。

AIが人に代わって人材育成を行うのではなく、
自分自身の行動を客観的に見るための「鏡」としてAIを使う。
私は、こうしたAIの使い方に可能性があると考えています。

Gallupが重視する「マネージャーからコーチへ」という変化

これからの管理職育成を考えるうえで参考になるのが、Gallup(ギャラップ)の考え方です。

Gallupでは、これからのマネージャーには、従来のように上司が部下を一方的に管理するだけではなく、一人ひとりの成長を支援するコーチとしての役割が重要だとしています。
また、Gallupの従業員エンゲージメントに関する公式情報では、「成長」「継続的な対話」「強みの活用」などが、エンゲージメントを高める重要な要素として示されています。

これは、管理職研修を一度実施して終わるのではなく、日常の対話やフィードバックを通じて部下の成長を支援していくことの重要性にもつながります。
管理職の役割を、
「答えを教える人」から「相手が考え、成長することを支援する人」へ。
こうした変化が、これからの管理職育成では重要になっていくと考えています。

➡ Gallup公式「従業員エンゲージメントを高める方法」

ただし「全員が同じ管理職」を目指す必要はない

ここでもう一つ、大切にしたいことがあります。
それは、
全員を同じ理想の管理職像に当てはめないこと
です。

例えば、
「優れた管理職はコミュニケーションが上手でなければならない」
「管理職なら強いリーダーシップで部下を引っ張るべきだ」
と一つの理想像を設定してしまうと、そのスタイルが得意ではない管理職は、
「自分にはマネジメントの才能がない」
と感じてしまうかもしれません。

しかし、人にはそれぞれ違った強みがあります。

人を励ましながら動かすことが得意な人。
一人ひとりをよく見ながら関わることが得意な人。
情報を整理し、方向性を示すことが得意な人。
未来を描き、チームに可能性を示すことが得意な人。
状況に応じて人や仕事を組み合わせることが得意な人。
マネジメントの方法は一つではありません。

大切なのは、
「理想の管理職になること」ではなく、「自分の強みを使って、どうチームの成果につなげるか」
を考えることではないでしょうか。

ストレングスファインダー®とは?Gallupが開発した「強み」に着目するアセスメント

ここで活用できる一つの方法が、ストレングスファインダー®です。

ストレングスファインダーは、Gallup(ギャラップ)が提供する、人が持つ才能や強みに着目したアセスメントです。
現在Gallupでは「クリフトンストレングス」という名称が使われていますが、Gallup公式サイトでも、以前「ストレングス・ファインダー」と呼ばれていたものが現在のクリフトンストレングスであることが説明されています。

ストレングスファインダーでは、人の才能を34の資質から捉えます。
重要なのは、
「自分にはどんな才能があるのか」を知ることだけではありません。
自分の才能が、
「どんな仕事の場面で発揮されているのか」
「どのように成果につながっているのか」
「マネジメントにどう活かせるのか」
まで考えることです。

だからこそ私は、管理職育成においてストレングスファインダーを活用する場合も、診断結果を見るだけで終わらせないことが重要だと考えています。

➡ Gallup公式「クリフトンストレングス(旧ストレングス・ファインダー)」

ストレングスファインダー®も「診断して終わり」にしない

診断結果を見て、
「私の上位資質はこれなんだ」
「確かに自分らしい」
と確認するだけでは、仕事やマネジメントが自動的に変わるわけではありません。
大切なのは、その先です。

自分を知る

自分の強みが仕事でどう表れているかを考える

実際のマネジメントで使ってみる

振り返る

より効果的な使い方を考える
ところまでつなげる必要があります。

Gallupも、チームメンバーがアセスメントを受けた後、本人が本来得意とすることを育成し、活用できるよう支援することを重視しています。

例えば、同じ「部下に仕事を任せる」という場面でも、その人の強みによってアプローチは変わります。
未来を描くことが得意な管理職なら、
「この仕事が将来どこにつながっていくのか」
を伝えることが、その人らしいマネジメントになるかもしれません。
一人ひとりを見ることが得意な管理職なら、相手の経験や特徴に合わせて任せ方を変える。
物事を組み立てることが得意な管理職なら、チーム全体の役割を整理しながら任せる。

つまり、
「何をするか」は共有しながら、「どうやるか」は一人ひとりの強みを活かす。
これが、ストレングスファインダーを管理職育成や組織開発に活用する意味の一つだと考えています。

➡ Gallup公式「チームやマネージャーによるクリフトンストレングスの使用方法」

Gallup認定ストレングスコーチが考える「強み×実践×振り返り」の育成サイクル

では、実際の管理職育成をどのように設計すればよいのでしょうか。

Gallup認定ストレングスコーチとして、私は次のようなサイクルが一つの形になると考えています。

STEP1 自分を知る
ストレングスファインダー®を活用して、自分の才能や強み、思考・行動の特徴を理解します。
単に上位資質を確認するだけではなく、
「自分はどんなときに力を発揮しやすいのか」
「自分の強みは、周囲からどのように見えているのか」
「強みが行き過ぎると、どんなことが起こるのか」
まで考えます。

STEP2 マネジメントの基本を学ぶ
傾聴、問いかけ、フィードバック、1on1など、管理職として必要となる基本的な考え方やスキルを学びます。
ここでは、まず基本となる「型」を知ることも大切です。

STEP3 現場で実践する
研修で終わらせず、実際の部下との1on1や日常のコミュニケーションの中で試します。
最初から完璧にできる必要はありません。
まずやってみる。
ここからが本当の育成のスタートです。

STEP4 振り返る
AIやデータ、本人の記録、周囲からのフィードバックなどを材料として、自分の行動を振り返ります。
「できた・できなかった」だけではなく、
「なぜそうなったのか」
まで考えます。

STEP5 対話する
コーチや他の管理職との対話を通じて、
「なぜうまくいったのか」
「なぜうまくいかなかったのか」
「自分のどの強みが使われていたのか」
「次は何を変えてみるのか」
を考えます。

STEP6 もう一度実践する
次に試す行動を一つ決めて、現場に戻ります。
そして、また振り返ります。
強みを知る
→ 学ぶ
→ 実践する
→ 可視化する
→ 振り返る
→ 対話する
→ 再実践する
この循環を何度も回していく。

一度の研修で人を変えようとするのではなく、小さな行動変容を積み重ねていく。
これが「研修して終わり」にしない管理職育成の一つの形だと思います。

管理職育成の成果を「研修を何回やったか」で測らない

もう一つ重要なのが、育成の成果をどう見るかです。

「今年は管理職研修を3回実施した」
「対象者30人が受講した」
という数字も必要です。

しかし、それは育成活動を実施した結果であって、必ずしも人が育った結果ではありません。
本当に確認したいのは、その後です。

例えば、
1on1が継続しているか。
部下への問いかけが増えたか。
上司から部下への一方的な指示が減ったか。
部下自身が考えて動く場面が増えたか。
管理職自身が、自分の強みを意識してマネジメントできているか。
チームの中で対話が増えたか。

こうした現場での行動の変化を見る必要があります。

Gallupも、従業員エンゲージメントを高める要素として「成長」「継続的な対話」「強みの活用」などを挙げています。また、マネージャーが質の高いコーチングの対話を行えるよう育成することの重要性も示しています。

「研修を何回実施したか」から、
「現場の行動がどう変わったか」へ。
人材育成の評価方法も変えていく必要があると思います。

➡ Gallup公式「従業員エンゲージメントを高める方法」

AI時代だからこそ、管理職には「人を見る力」が求められる

生成AIの進化によって、資料作成、情報整理、データ分析など、これまで人が時間をかけて行っていた業務の一部は、今後さらに効率化されていくでしょう。
では、そのとき管理職には何が求められるのでしょうか。

私は、
「人を見る力」
の重要性が、これまで以上に高まるのではないかと考えています。
部下に答えを教えるだけではなく、問いを投げかける。
話を聴く。
本人が気づいていない強みに気づく。
一人ひとりに合った成長の機会をつくる。
そして、部下自身が考えて動けるように支援する。

AIができることが増えるからこそ、
「人だからこそできるマネジメントとは何か」
を考える必要があります。

そしてAIは、その人間同士のマネジメントを置き換えるものではなく、より良い対話や振り返りを支える道具として活用していく。
そんな関係が理想ではないでしょうか。

まとめ|「研修」から「人が成長し続ける仕組み」へ

研修そのものが不要になるわけではありません。

研修は、新しい考え方やスキルを知り、これまでの自分のマネジメントを見直す大切な機会です。

しかし、
研修だけで人を変えようとしない。
研修で学ぶ。
現場で試す。
AIやデータも活用しながら振り返る。
対話する。
自分の強みを理解する。
次の行動を決める。

そして、もう一度現場で試す。

このサイクルを繰り返すことで、研修で学んだことが少しずつ「自分のマネジメント」になっていきます。

ストレングスファインダー®も同じです。
「診断して終わり」ではなく、「強みを現場で使ってみる」。
その経験を振り返り、さらに強みを磨いていく。

これからの管理職育成で大切なのは、
「研修を実施すること」から「人が成長し続ける仕組みをつくること」へ
視点を変えていくことではないでしょうか。

Gallup認定ストレングスコーチによる管理職育成・組織開発

kanakoluコンサルティングオフィスでは、Gallup認定ストレングスコーチとして、ストレングスファインダー®を活用した管理職育成、チーム開発、組織開発をご支援しています。

単にストレングスファインダーの診断や研修を実施して終わるのではなく、
自己理解 → 学び → 現場実践 → 振り返り → 対話・コーチング → 再実践
までをつなぎ、一人ひとりの強みを実際のマネジメントや仕事の中で活かしていくことを大切にしています。

「管理職研修を実施しているが、行動変容につながらない」
「1on1を導入したが、形骸化している」
「管理職にコーチング型のマネジメントを身につけてほしい」
「ストレングスファインダーを診断だけで終わらせず、人材育成や組織開発に活用したい」
「Gallup認定ストレングスコーチによる継続的な伴走支援を受けたい」
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