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同じ研修をしても、人が育つとは限らない——これからの人材育成に必要な「一人ひとりの強みを活かす」という視点

研修はやっている。でも、なかなか現場が変わらない

「管理職研修を実施しているが、職場に戻ると以前とあまり変わらない」

「若手社員を育てたいが、人によって成長のスピードに大きな差がある」

「部下への接し方や育て方に、管理職自身が悩んでいる」

「研修を受けること自体が目的になってしまっている」

企業の人材育成についてお話を伺っていると、このような悩みを耳にすることがあります。

もちろん、研修そのものに意味がないわけではありません。

業務に必要な知識やスキルを身につけるためには、体系的な研修は重要です。

一方で、人にはそれぞれ違いがあります。

得意なことも違えば、物事の考え方、行動の仕方、モチベーションが高まるポイントも違います。

それにもかかわらず、全員に同じ内容を教え、

「管理職ならこうあるべき」

「リーダーならこれができなければならない」

という一つの型だけに当てはめようとすると、一人ひとりが本来持っている力を十分に活かせないことがあります。

私は物流現場で20年以上、管理職やプロジェクト責任者として人や組織に関わってきました。

その経験に加えて、現在はGallup認定ストレングスコーチとして人材育成・組織開発にも取り組んでいます。

その中で改めて感じているのが、これからの人材育成には、

「できないことをできるようにする」だけではなく、「その人が持っている強みをどう仕事に活かすか」

という視点も必要だということです。

なぜ「同じ研修」だけでは人が育ちにくいのか

同じ部署で、同じ仕事をしている二人がいたとしても、成果を出す方法が同じとは限りません。

例えば、新しい仕事を任されたとき、

まず情報を集め、慎重に考えてから動く人もいれば、まず行動しながら考える人もいます。

周囲とのコミュニケーションからアイデアを生み出す人もいれば、一人でじっくり考えることで力を発揮する人もいます。

どちらが正しい、という話ではありません。

成果にたどり着くまでの「その人らしい方法」が違うということです。

ところが人材育成では、どうしても「不足しているもの」に目が向きがちです。

「もっと積極的になってほしい」

「もっと慎重に考えてほしい」

「もっとコミュニケーションを取ってほしい」

もちろん、仕事をするうえで改善しなければならない部分はあります。

ただ、弱い部分を修正することだけに育成の時間を使うのではなく、

「この人は何が得意なのか」

「どのような場面なら力を発揮できるのか」

「その強みを仕事の成果につなげるにはどうすればよいのか」

という視点を加えることで、人材育成の可能性は大きく広がります。

Gallupも、強みに基づく育成では単に自分の資質を知るだけではなく、その強みを現在の役割や目標、将来の仕事にどう活用するかを対話することを重視しています。

➡ クリフトンストレングスの科学について知る|Gallup日本語版

これからの人材育成で大切にしたい3つの視点

① まず「自分を知る」

人材育成の第一歩は、本人が自分自身を理解することだと考えています。

自分は何が得意なのか。

どのようなときに力を発揮するのか。

どのような考え方や行動を自然に取りやすいのか。

逆に、自分の強みが行き過ぎると、どのようなことが起こりやすいのか。

意外と自分自身では分かっていないものです。

そこで一つの方法として活用できるのが、Gallupの**CliftonStrengths(クリフトンストレングス/ストレングスファインダー)**です。

CliftonStrengthsは、34の資質を通じて、一人ひとりの才能のパターンを理解していくためのアセスメントです。

大切なのは、

「私は○○という資質を持っています」

と知ることだけではありません。

その資質が、

「普段の仕事でどう表れているのか」

「どんな場面で成果につながっているのか」

「逆に、どんな場面では注意した方がよいのか」

まで考えて初めて、仕事で活用できるようになります。

② 「相手との違い」を知る

自分を理解したら、次に重要なのが相手を理解することです。

これは特に管理職にとって重要です。

例えば、自分がすぐに行動するタイプの管理職だったとします。

すると、じっくり考えてから動く部下を見ると、

「なぜすぐ動かないんだろう」

と思ってしまうかもしれません。

逆に、慎重に考えるタイプの管理職からすると、すぐ行動する部下を見て、

「もっと考えてから動いてほしい」

と思うかもしれません。

ここで重要なのは、

「自分と違う=能力が低い」ではない

ということです。

自分の強みを理解すると同時に、相手の強みを理解することで、

「なぜこの人はこう考えるのか」

「どう伝えれば、この人は動きやすいのか」

「どのような仕事を任せると力を発揮するのか」

という視点で部下を見ることができるようになります。

GallupもCliftonStrengthsを、個人の才能を理解するだけでなく、チーム内で共通言語をつくり、お互いの違いを理解して協働しやすくする手段として位置づけています。

③ 「強み」を仕事と役割に結びつける

ここが最も重要です。

人材育成では、研修や診断を実施すると、それ自体がゴールになってしまうことがあります。

しかし、

診断結果を知っただけでは、職場は変わりません。

例えば、

「あなたにはコミュニケーションの強みがあります」

と分かったのであれば、

「その強みを、チームミーティングでどう活かすのか」

「部下との1on1でどう活かすのか」

「顧客との関係構築でどう活かすのか」

まで考える必要があります。

つまり、

知る
↓
理解する
↓
仕事で使う
↓
振り返る
↓
さらに磨く

というサイクルをつくることが重要です。

Gallupの2026年更新のメタ分析でも、強みに基づく人材育成は、単なる自己理解にとどまらず、従業員エンゲージメントや売上、利益、離職、安全など複数の組織成果との関係が分析されています。

管理職が部下の強みを知ると、マネジメントも変わる

強みを活かした人材育成は、本人だけのものではありません。

むしろ、管理職が部下一人ひとりの違いを理解することに大きな意味があります。

例えば、部下に仕事を任せるときも、

全員に同じ指示を出すのではなく、

「この人には、まず目的を伝えた方が動きやすい」

「この人には、具体的な手順まで示した方がよい」

「この人には、ある程度任せた方が力を発揮する」

といった違いが見えてきます。

これは「人によって扱いを変える」という意味ではありません。

同じ成果を目指しながら、一人ひとりが力を発揮しやすい方法を考えるということです。

Gallupも、優れたマネジャーは各メンバー固有の才能を理解し、仕事や役割の中で強みを発揮できるようにすることを重視するとしています。

➡ Gallup「従業員エンゲージメントを高める方法」日本語版

個人の強みを「チームの力」に変える

さらに一歩進めると、人材育成は個人だけの問題ではなくなります。

AさんにはAさんの強みがある。

BさんにはBさんの強みがある。

Cさんにも別の強みがある。

それぞれが自分の強みだけを理解していても、組織として十分とはいえません。

大切なのは、

自分を知る
↓
相手との違いを知る
↓
お互いの強みを活かして役割を考える
↓
チームとして成果を出す

ところまでつなげることです。

例えば、自分が苦手なことを、別のメンバーが自然に得意としていることもあります。

反対に、自分が当たり前にできていることが、チームにとって非常に価値のある強みかもしれません。

こうした違いが見えるようになると、

「なぜあの人は自分と同じようにできないのか」

ではなく、

「それぞれの違いをどう組み合わせれば、チームとして成果を出せるか」

という発想に変わっていきます。

これが、個人の強みを組織の力へ変えていくということだと考えています。

「1日の研修」で終わらせない人材育成へ

もう一つ、人材育成で重要だと感じていることがあります。

それは、研修後の実践です。

研修当日は、

「なるほど」

「明日からやってみよう」

と思っても、現場に戻れば日々の業務が始まります。

数週間すると、以前と同じ状態に戻ってしまうことも珍しくありません。

だからこそ、

研修
↓
職場で実践
↓
振り返り
↓
対話・コーチング
↓
再実践

というサイクルをつくることが重要です。

例えば、研修後に、

「今月は自分の強みを使って何に挑戦するか」

を一つ決める。

次回の1on1で、

「実際にやってみてどうだったか」

「どんな場面でうまくいったか」

「次はどうするか」

を振り返る。

こうした小さな実践を繰り返す方が、一度に多くの知識を教えるだけよりも、実際の行動変容につながりやすいと考えています。

Gallupも、強みを組織文化に定着させるには、単発の取り組みではなく、日常のコーチング、評価、チームでの対話などに組み込むことを重視しています。

➡ Gallup「マネジャーの成功は本格的な従業員のコーチングから」日本語版

人材育成の成果を「研修を何回やったか」で測らない

企業の人材育成では、

「今年は○回研修を実施した」

「管理職○人が受講した」

という数字が成果になってしまうことがあります。

しかし、本当に確認したいのはその先です。

研修後に、どんな行動が変わったのか。

管理職と部下の対話は変わったのか。

社員が自分の強みを仕事で使えるようになったのか。

チームとして成果を出せるようになったのか。

ここまで見て初めて、人材育成が「研修」から「組織づくり」へ変わっていくのではないでしょうか。

まとめ|人を「型にはめる」のではなく、強みを活かせる組織へ

人材育成というと、

「できないことをできるようにする」

ことに目が向きがちです。

もちろん、仕事をするうえで必要な知識やスキルを身につけることは重要です。

しかし、それと同時に、

一人ひとりが自分の強みを知る。

相手との違いを理解する。

強みを仕事や役割に活かす。

それぞれの強みを組み合わせて、チームとして成果を出す。

という視点も必要です。

人を同じ型にはめるのではなく、一人ひとりの違いを活かしながら組織として同じ目標を目指す。

私は、これからの人材育成では、この考え方がますます重要になると考えています。

kanakoluコンサルティングオフィスでは、Gallup認定ストレングスコーチとして、CliftonStrengthsを活用した管理職育成、チーム開発、組織開発をご支援しています。

単に診断や研修を実施するだけではなく、自己理解から職場での実践、対話、振り返りまでをつなげ、人と組織が継続的に成長できる状態をつくることを大切にしています。

「研修を実施しているが、なかなか行動変容につながらない」

「管理職に一人ひとりの強みを活かすマネジメントを身につけてほしい」

「個人の強みをチームの成果につなげたい」

とお考えの企業様は、お気軽にご相談ください。

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